自作PCのマザーボードを探すと、同じCPUに対応する製品でも、価格が1万円台から数万円以上まで大きく違います。
製品名にはX870E、B850、Z890、B860などのチップセット名が入り、さらにATX、Micro-ATX、Mini-ITXというサイズ、メモリスロット、M.2、PCI Express、USB、LANなどの仕様も並びます。何を基準に選べばよいのか、分かりにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。
チエバコCPUとソケットが合っていても、必要な端子が足りなかったり、将来増設したい部品を取り付けられなかったりすることがあります。
結論からいうと、マザーボードはCPU対応、ケースへ収まるサイズ、必要な拡張端子、電源回路と冷却、BIOSの更新方法という順番で絞り込むと選びやすくなります。価格やチップセットの格だけで決めるのではなく、実際に接続する部品を基準にすることが重要です。
この記事では、一般向けデスクトップ自作PCを対象に、2026年8月時点のマザーボードの選び方を整理します。ノートPC、メーカー製PCの独自基板、サーバー・ワークステーション向け製品は対象外です。
- 最初にCPUとソケットを決め、メーカーのCPUサポートリストを確認する
- チップセット名だけでなく、製品ごとの端子数と配置を確認する
- ATXなどのサイズは、ケースへの対応と必要な拡張性から選ぶ
- 上位CPUを長時間使う場合は、電源回路と冷却にも余裕を持たせる
- 中古品は付属品、端子の状態、BIOS、保証・返品条件まで確認する
自作PCのマザーボード選びはCPUとソケットから始める
マザーボードを先に価格やデザインで選ぶと、使いたいCPUを取り付けられないことがあります。最初にCPUメーカーと世代を決め、対応するソケットとチップセットへ候補を絞ります。
| メーカー | 主なソケット | 対応する主なCPU | メモリ | 選ぶ場面 |
|---|---|---|---|---|
| AMD | AM5 | Ryzen 7000・8000・9000シリーズ | DDR5 | 新規自作の中心。将来CPUを換装する構成にも向く |
| AMD | AM4 | Ryzen 1000~5000シリーズ ※対応範囲は製品ごとに異なる | DDR4 | 既存PCの修理・換装、安価な構成で検討 |
| Intel | LGA1851 | Core Ultra 200S・200S Plus | DDR5 | 現行Intel環境で新規に組む場合の候補 |
| Intel | LGA1700 | 第12・第13・第14世代Core | DDR4またはDDR5 ※マザーボードごとに固定 | 既存PCの換装や、セット価格が安い場合に検討 |
この表はソケット単位の大きな区分です。同じソケットでも、すべてのCPUがすべてのマザーボードで動くわけではありません。後から発売されたCPUを使う場合は、BIOS更新が必要になることもあります。
CPUの用途別の選び方や、AMD・Intelのソケット対応については、関連記事で確認できます。


ソケットが同じでもCPUサポートリストを確認する
購入前には、マザーボードメーカーの製品ページにあるCPUサポートリストで、使用するCPUの正確な型番を探します。対応欄には、使用に必要な最低BIOSバージョンが記載されている場合があります。
- CPUとマザーボードのソケットを一致させる
- チップセットがCPUの世代に対応しているか確認する
- CPUサポートリストに正確な型番があるか確認する
- 必要なBIOSバージョンと更新方法を確認する
「ソケットが合うから取り付けられる」という確認で終わらせず、CPUサポートリストとBIOSまで確認して、初めて対応する組み合わせと判断するのが安全です。
マザーボードのチップセットの違い
チップセットは、マザーボードで利用できるPCI Express、USB、SATAなどの拡張機能や、オーバークロックへの対応に関係します。同じソケットのマザーボードでも、チップセットによって接続できる機器の数や構成が変わります。
ただし、チップセットの仕様はマザーボードが作れる上限を示すものであり、すべての製品が上限まで端子を搭載しているわけではありません。同じB850やB860でも、M.2の数、USB端子、LAN、Wi-Fi、電源回路などは製品ごとに異なります。
AMD AM5の主なチップセット
| チップセット | 位置づけ | 主な特徴 | 向いている構成 |
|---|---|---|---|
| X870E・X870 | 上位 | 高速なPCIe、複数の拡張端子、USB4などを搭載しやすい。CPU・メモリのオーバークロックに対応 | 上位CPU、複数のM.2や拡張カード、高速な外部機器を使うPC |
| B850 | 主力 | PCIe 5.0対応NVMe、CPU・メモリのオーバークロックに対応。製品ごとの価格と機能の幅が広い | 一般用途からゲーム、動画編集まで幅広い構成 |
| B840 | 入門・価格重視 | PCIe 4.0が中心。CPUのオーバークロックには非対応、メモリのEXPOには対応 | 必要な端子を絞った一般用途、価格を抑えた構成 |
| X670E・X670・B650E・B650・A620 | 600シリーズ | AM5初期から販売されている世代。Ryzen 8000・9000シリーズではBIOS更新が必要になる場合がある | 必要な機能を満たし、価格に利点がある場合 |
AMDの公式仕様では、X870EとX870はグラフィックボード用とNVMe用のPCIe 5.0に対応し、B850はNVMe用のPCIe 5.0に対応します。B840とA620はCPUのオーバークロックに対応しません。USBやSATAの最大数にも違いがあるため、詳細はAMD Socket AM5チップセットの公式情報と各製品の仕様を確認してください。
Intel LGA1851の主なチップセット
| チップセット | 位置づけ | オーバークロック | 向いている構成 |
|---|---|---|---|
| Z890 | 上位 | 対応CPUのコア・BCLK・メモリに対応 | K・KFモデル、拡張端子を多く使うPC、上位構成 |
| B860 | 主力 | メモリに対応。CPUコアの倍率変更は非対応 | 定格で使う一般用途、ゲーム、制作PC |
| H810 | 入門・価格重視 | CPU・メモリとも非対応 | 端子数や増設を絞った一般用途 |
Intelの公式仕様では、Z890、B860、H810の順にチップセット側のPCI ExpressレーンやUSB端子の上限が少なくなります。実際の搭載数はマザーボードごとに異なるため、Intel Z890、B860、H810の仕様と、購入候補の製品ページを照合します。
同じチップセットでも価格差がある理由
同じチップセットを使うマザーボードでも、価格は同じになりません。チップセット以外の設計や搭載部品に違いがあるためです。
- CPUへ電力を供給する電源回路とヒートシンク
- メモリスロット、M.2、PCI Express、SATAの数
- USB端子の数と転送速度、USB Type-Cの有無
- 1GbE・2.5GbEなどの有線LAN、Wi-Fi、Bluetooth
- オーディオ回路、映像出力、内部コネクター
- BIOS更新機能、診断LED、基板の構造、付属品
チップセットが同じなら基本機能は近くなりますが、使い勝手や増設余地、上位CPUを長時間動かす余裕は同じとは限りません。
ATX・Micro-ATX・Mini-ITXのサイズの違い
マザーボードのサイズはフォームファクターと呼ばれます。一般的な自作PCでは、ATX、Micro-ATX、Mini-ITXの3種類が中心です。
| 規格 | 標準的な最大サイズ | 拡張性の傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ATX | 305×244mm | PCI Express、M.2、SATA、ファン端子などを多く搭載しやすい | 増設余地と組みやすさを重視する人 |
| Micro-ATX | 244×244mm | ATXより拡張スロットは少ないが、一般的な構成には十分な製品が多い | 本体を少し小さくし、価格も抑えたい人 |
| Mini-ITX | 170×170mm | 一般にメモリ2スロット、PCI Express 1スロット。端子の配置が密集する | 小型PCを目的として部品を選べる人 |
大型ケースはATXとMicro-ATXの両方に対応することが多い一方、Micro-ATXケースへATXマザーボードは通常取り付けられません。Mini-ITXは小型ですが、ケース、CPUクーラー、グラフィックボード、電源ユニットの寸法制限が厳しくなります。
小さいマザーボードほど性能が低いとは限りません。ただし、部品を配置できる面積が限られるため、拡張スロットやファン端子が少なく、M.2スロットが基板の裏側にある製品もあります。組み立てや将来の増設まで考えると、特に小型化する理由がなければATXかMicro-ATXから選ぶと構成をまとめやすくなります。
ケースの対応表記だけでなく内部寸法も確認する
ケースがATX対応でも、大型グラフィックボード、厚いラジエーター、複数のストレージを同時に取り付けると、部品同士が干渉することがあります。次の寸法はマザーボードと合わせて確認します。
- グラフィックボードの長さ、厚さ、高さ
- 空冷CPUクーラーの高さ
- 簡易水冷ラジエーターの取付位置と厚さ
- 電源ユニットとケーブルの収納スペース
- 3.5インチ・2.5インチドライブベイとの干渉
マザーボードのメモリ規格とスロット数を確認する
マザーボードは、DDR4用とDDR5用でスロットの形状が異なります。DDR4メモリをDDR5マザーボードへ取り付けることはできず、反対も同じです。
AM5とLGA1851はDDR5を使用します。LGA1700にはDDR4製品とDDR5製品がありますが、1枚のマザーボードで両方を使い分けるのではなく、購入時にどちらか一方へ決まります。
長く使うなら最大容量と空きスロットも見る
ATXとMicro-ATXではメモリスロットを4本備える製品が多く、Mini-ITXや一部の低価格製品では2本が一般的です。現在必要な容量だけでなく、数年後に増設する可能性も考えます。
例えば64GBを使う場合、16GBを4枚にすると全スロットが埋まります。32GBを2枚にすれば空きスロットを残せますが、後から同じ型番を追加しても、4枚構成で同じ速度や設定が必ず動くとは限りません。
メモリを増やすほどCPU内のメモリコントローラーへの負荷が高まり、枚数や構成によって対応速度が下がることがあります。大容量や高クロックで使う場合は、CPUのメモリ仕様とマザーボードのメモリサポートリストを確認します。
XMP・EXPOとメモリサポートリスト
Intel XMPやAMD EXPO対応メモリは、BIOSでプロファイルを選ぶことで、定格を超えるメモリ速度やタイミングを設定しやすくする仕組みです。ただし、プロファイルを読み込めば、すべてのCPUとマザーボードで同じ設定が保証されるわけではありません。
マザーボードメーカーのメモリサポートリストには、メーカーが組み合わせを確認した型番、容量、枚数などが掲載されています。掲載されていないメモリが必ず使えないという意味ではありませんが、相性の不安を減らしたい場合の判断材料になります。
M.2・PCI Express・SATAの拡張性を確認する
マザーボードの拡張性は、端子の数だけでなく、同時に使える組み合わせまで確認する必要があります。CPUとチップセットが使えるPCIeレーンには上限があり、特定のM.2スロットを使うと、PCI Expressスロットの帯域が変わったり、一部のSATA端子が無効になったりする製品があります。
グラフィックボード用PCI Expressスロット
グラフィックボードは、通常はCPUに近い一番上のPCI Express x16スロットへ取り付けます。スロットがx16の長さでも、内部の配線がx4などになっている場合があるため、複数の拡張カードを使う場合は動作レーン数も確認します。
大型グラフィックボードは2~4スロット分の厚みを使うことがあり、下側のPCI Expressスロットを覆う場合があります。キャプチャーボード、サウンドカード、高速LANカードなどを追加する予定があるなら、スロットの本数だけでなく、実際にカードを挿せる間隔が必要です。
グラフィックボードのサイズやメーカーごとの違いは、関連記事も参考にしてください。


M.2スロットはSSDの接続方式と対応世代を見る
M.2はHDDやSSDと並ぶ記憶装置の種類ではなく、SSDやWi-Fiカードなどに使われる形状規格です。M.2 SSDにはPCIe接続のNVMe SSDとSATA接続のSSDがあり、マザーボード側のM.2スロットがどちらに対応するかを確認します。
| 取り付けるストレージ | マザーボード側で確認する端子 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 3.5インチHDD | SATA端子 | 必要な台数分のSATA端子とケースのドライブベイ |
| 2.5インチSATA SSD | SATA端子 | SATA端子、取付場所、電源ケーブル |
| M.2 SATA SSD | SATA対応M.2スロット | M.2スロットがSATA接続へ対応しているか |
| M.2 NVMe SSD | PCIe対応M.2スロット | PCIe 4.0・5.0などの世代、レーン数、対応サイズ |
デスクトップPC向けのM.2 SSDでは、幅22mm、長さ80mmの「2280」が広く使われています。マザーボードによっては2230、2242、22110などにも対応します。高速なNVMe SSDを使う場合は、M.2ヒートシンクの有無と、グラフィックボードの下に隠れて交換しにくくならないかも確認します。
NVM Express公式のM.2・NVMe情報では、M.2は小型機器のフォームファクターで、SATAとPCIeの両方を利用できるとされています。「M.2ならすべてNVMe」「M.2ならすべて同じ速度」とは判断できません。
M.2とSATAの排他利用をマニュアルで確認する
製品仕様に「M.2スロット3基、SATA端子4基」と書かれていても、すべてを同時に使えるとは限りません。特定のM.2スロットへSSDを取り付けると、一部のSATA端子が無効になる場合があります。
また、CPUや使用するM.2スロットによって、グラフィックボード用PCI Expressスロットの動作がx16からx8へ変わる製品もあります。このような共有条件は製品ページの概要だけでは分からないことがあるため、購入前にマニュアルの拡張スロットとストレージの項目まで確認します。
USB・LAN・Wi-Fiは端子の有無だけで決めない
USB、LAN、Wi-Fiは後から拡張できますが、最初から必要な機能を備えたマザーボードを選ぶと、拡張スロットを使わず配線も減らせます。一方、使わない高速端子や無線機能のために上位製品を選ぶ必要はありません。
背面USBとケース前面用コネクターを分けて確認する
マザーボードのUSBは、背面パネルに直接付いている端子と、PCケース前面のUSB端子へつなぐ内部コネクターに分かれます。背面の数が十分でも、ケース前面のUSB Type-Cを接続する内部コネクターがなければ、その端子を使えません。
USB Type-Cは端子の形を示す名称であり、転送速度や映像出力、充電能力が一律に決まるわけではありません。外付けSSD、ドッキングステーション、液晶ペンタブレットなど、接続する機器が必要とする速度と機能を確認します。
有線LANは家庭内ネットワークの速度に合わせる
現在のマザーボードには、1GbEや2.5GbEの有線LANが搭載されています。2.5GbEを利用するには、ルーターやスイッチングハブ、LANケーブル、NASなど、通信経路側も対応している必要があります。
インターネット回線が1Gbps以下でも、PCとNASの間で大容量ファイルを移動する場合は2.5GbEが役立つことがあります。反対に、外部との通信が中心で周辺機器も1GbEなら、LANの数字だけで上位製品を選ぶ効果は限られます。
Wi-Fi搭載モデルはアンテナとBluetoothも確認する
製品名に「WiFi」や「AX」などが入るモデルは、無線LAN機能を搭載していることがあります。同じシリーズでもWi-Fiあり・なしの製品が販売されるため、名称の末尾まで確認します。
Wi-Fiの世代だけでなく、利用できる周波数帯、Bluetooth、付属アンテナも確認します。BluetoothはWi-Fiモジュールと一体になっていることが多く、無線LANを有線で使う予定でも、キーボード、マウス、イヤホンの接続に利用できます。
電源回路と冷却は上位CPUを長時間使うときに重要
マザーボードの電源回路は、電源ユニットから受け取った電力をCPUに適した電圧へ変換して供給します。Web閲覧やOffice中心のCPUと、動画書き出しやレンダリングで上位CPUを長時間動かす構成では、求められる余裕が異なります。
低価格マザーボードでも上位CPUがCPUサポートリストに掲載されることはあります。しかし、起動できることと、高負荷を長時間安定して処理できることは同じではありません。電源回路の温度が高くなれば、CPUの性能を維持しにくくなる場合があります。
フェーズ数だけで電源回路を比べない
製品ページでは「○○フェーズ電源設計」などと表示されますが、数字だけでは電源回路全体の能力は決まりません。使用する部品、1フェーズ当たりの定格、制御方法、ヒートシンク、基板設計、風の流れなども関係します。
- 使用するCPUを定格で使うのか、設定を変更するのか
- 動画編集や3DCGなど、全コア負荷が長時間続くか
- 電源回路に十分な大きさのヒートシンクがあるか
- ケース内の吸気・排気で電源回路周辺へ風が流れるか
- CPU補助電源端子と電源ユニット側のケーブルが合うか
ミドルレンジCPUを定格で使う一般的なPCなら、最上位の電源回路が必要とは限りません。上位CPUを長時間使う場合や、将来CPUだけを交換する計画がある場合に、余裕のある電源回路と冷却が判断材料になります。
BIOS更新とトラブル確認機能を見る
BIOSは、CPU、メモリ、ストレージなどを認識し、PCを起動するための基本的な制御を行います。新しいCPUへの対応、不具合の修正、メモリ互換性の改善などで更新されることがあります。
CPUなしで更新できる機能があると選択肢が広がる
後から発売されたCPUを古いBIOSのマザーボードへ取り付けると、電源を入れても起動できない場合があります。このとき、対応済みの古いCPUがなければ通常の方法ではBIOSを更新できません。
一部のマザーボードには、CPUやメモリを取り付けなくても、USBメモリからBIOSを更新できる機能があります。ASUSのBIOS FlashBack、MSIのFlash BIOS Button、GIGABYTEのQ-Flash Plusなど、名称と操作方法はメーカーや製品によって異なります。
診断LEDやPOSTコードは組み立て時に役立つ
自作PCが起動しないときは、CPU、メモリ、グラフィックボード、ストレージ、配線などを順番に確認します。CPU・DRAM・VGA・BOOTなどの状態を示す診断LEDがあれば、停止している段階を絞り込みやすくなります。
数字や文字で状態を示すPOSTコード表示、BIOS設定を初期化するClear CMOSボタン、電源・リセットボタンなどは、構成変更や不具合確認を繰り返す人に便利です。ただし、通常の利用で必須の機能ではないため、価格差とのバランスを見ます。
高価なマザーボードが必要になる条件
マザーボードを高価な製品へ変えただけで、同じCPUとグラフィックボードの性能が大幅に上がるわけではありません。定格で安定して動き、必要な端子が足りているなら、上位製品との体感差が小さい用途もあります。
| 構成・使い方 | マザーボード選びの考え方 |
|---|---|
| Web・Office・動画視聴が中心 | 必要な映像出力、USB、LAN、M.2がそろう入門~主力製品から選ぶ |
| ミドルレンジCPUとグラフィックボード1枚 | Bクラスを中心に、電源回路、M.2数、背面端子を比較する |
| 上位CPUで長時間の動画編集・3DCG | 電源回路、VRMヒートシンク、CPU補助電源、ケース冷却を重視する |
| 複数のM.2・拡張カード・高速USBを使う | 上位チップセットと製品マニュアルで、レーン共有と同時利用条件を確認する |
| 小型PCを組む | Mini-ITXの価格だけでなく、冷却、端子配置、増設できない部品まで決める |
| オーバークロックを行う | 対応チップセット、電源回路、冷却、保証への影響を確認する |
将来使うか分からない機能をすべて載せるのではなく、PCを使う期間内に増設する可能性が高い機能へ予算を配分すると、過不足の少ない構成になります。
将来のCPU交換と長期利用を考えた選び方
マザーボードは、CPUクーラー、グラフィックボード、配線など多くの部品を外さなければ交換できません。メモリやストレージを増設するより作業が大きいため、長期間使うなら少し先の構成まで考えておく価値があります。
- 将来載せ替えたいCPUに見合う電源回路と冷却
- メモリの最大容量と空きスロット
- M.2、SATA、PCI Expressの空き
- ケース前面を含むUSB Type-Cの接続
- 2.5GbE、Wi-Fi、Bluetoothなどの通信機能
- BIOS更新の継続状況とCPUなし更新機能
AMDは2026年5月に、Socket AM5プラットフォームを2029年までサポートする方針を公表しました。将来CPUだけを交換したい人には判断材料になります。
ただし、AM5というソケット名が同じでも、将来発売されるすべてのCPUが、現在販売中のすべてのマザーボードで動くと保証されたわけではありません。換装時には、改めてCPUサポートリスト、BIOS、電源回路を確認する必要があります。AMDの方針はAM5のサポートに関する公式発表で確認できます。
長期利用を考えても、使う予定のない端子や機能へ無制限に予算をかける必要はありません。CPU、メモリ、ストレージ、グラフィックボードなど、後から交換しやすい部品との予算配分も考えます。
中古マザーボードを選ぶときの注意点
旧世代CPUや手持ちのDDR4メモリを活用する場合、中古マザーボードは費用を抑える選択肢になります。一方、CPUより確認箇所が多く、不具合があると原因の切り分けにも時間がかかります。
基板とソケットの状態を写真で確認する
IntelのLGA1200・LGA1700・LGA1851やAMDのAM5では、細い接点がマザーボード側のCPUソケットにあります。接点の曲がり、異物、グリスの付着がないか、拡大写真で確認します。
そのほか、基板の反り、焦げ、腐食、液体が付着した跡、端子の破損、M.2固定部、メモリスロットのラッチなども確認します。簡易水冷を使っていたPCでは、CPUソケットやグラフィックボード周辺に漏れた形跡がないかも判断材料です。
付属品の欠品とBIOSバージョンを確認する
- 背面I/Oパネルが別部品の場合は付属しているか
- Wi-Fiアンテナが付属しているか
- M.2の固定ネジ、スペーサー、ヒートシンクがあるか
- SATAケーブルや温度センサーなど必要な付属品があるか
- 使用するCPUへ対応するBIOSに更新されているか
- UEFIパスワードや以前の独自設定が残っていないか
動作確認済みという説明だけでなく、どのCPU、メモリ、スロット、端子まで確認したのかが分かると判断しやすくなります。個人間取引では確認できる範囲が限られるため、価格差が小さいなら、保証や返品条件のある販売店も比較します。
自作PCのマザーボードを選ぶ手順
仕様表を見比べる前に、次の順番で必要条件を決めると、候補を絞り込みやすくなります。
1.CPUとソケットを決める
使用するCPUを決め、対応ソケットとCPUサポートリストから候補を絞ります。既存PCの換装なら、現在のマザーボードを基準に対応CPUを探します。
2.ケースに合うサイズを決める
ATX、Micro-ATX、Mini-ITXから選びます。小型化を優先しないなら、組みやすさと増設余地を確保しやすいATXかMicro-ATXが候補になります。
3.チップセットを用途から選ぶ
オーバークロック、複数のM.2、拡張カード、高速USBなどが必要なら上位チップセットを検討します。定格利用で端子数も多く必要としないなら、主力・入門クラスでも用途を満たせます。
4.取り付ける部品を一覧にする
メモリの容量と枚数、グラフィックボード、M.2 SSD、SATA接続のHDD・SSD、拡張カード、ケースファンを一覧にし、必要なスロットと端子を数えます。
5.外部機器とネットワークを確認する
背面USB、ケース前面USB、USB Type-C、映像出力、有線LAN、Wi-Fi、Bluetooth、オーディオ端子を確認します。現在使っている機器だけでなく、買い替え予定も含めます。
6.電源回路・冷却・BIOS機能を確認する
CPUの消費電力と負荷時間に見合う電源回路、ヒートシンク、CPU補助電源を確認します。BIOS更新機能、診断LED、ファン端子の数も、組み立てや長期利用へ影響します。
7.製品マニュアルで共有条件を確認する
最後に製品マニュアルを開き、M.2、SATA、PCI Expressの排他利用、各スロットの動作レーン数、メモリの取付順、ケース前面端子の接続位置を確認します。価格比較は、必要条件を満たした製品同士で行います。
マザーボード購入前の最終チェック
- CPUとソケットが一致しているか
- CPUサポートリストに正確な型番があるか
- 必要なBIOSバージョンと更新方法を確認したか
- マザーボードのサイズがケースへ対応しているか
- DDR4・DDR5の規格、容量、枚数が合っているか
- グラフィックボードと拡張カードを同時に取り付けられるか
- M.2とSATAの必要数、対応世代、共有条件を確認したか
- 背面とケース前面のUSB端子が用途に合うか
- LAN、Wi-Fi、Bluetooth、オーディオ機能は足りるか
- CPUに見合う電源回路、冷却、補助電源端子があるか
- 必要なファン・ポンプ端子の数を確認したか
- 数年後に増設するための空きスロットを残せるか
- 中古品は状態、付属品、保証・返品条件を確認したか
まとめ
自作PCのマザーボードは、チップセットの格や価格だけで選ぶ部品ではありません。CPU対応、ATXなどのサイズ、メモリ、M.2・PCI Express・SATA、USB、LAN、電源回路、BIOSを順番に確認します。
一般的な構成なら、主力チップセットの製品でも十分な機能を備えています。一方、上位CPUを長時間使う、複数のM.2や拡張カードを接続する、将来CPUだけを交換するといった目的があるなら、電源回路と拡張性へ余裕を持たせる意味があります。
取り付ける部品を先に一覧化し、製品ページとマニュアルで同時利用できることまで確認するのが、マザーボード選びで後悔しないための基本です。必要な機能が明確になれば、高価すぎる製品や、端子が足りない製品を避けやすくなります。


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