自作PCでCPUを交換するとき、「BIOSもアップデートした方がいいの?」と迷うことがあります。
CPUとマザーボードのソケットが同じなら、そのまま取り付けて使えそうに思えますが、ソケットが対応していても、BIOSが古いとCPUを認識できないことがあります。
特に、発売からしばらく経ったマザーボードに、あとから発売された新しい世代のCPUを取り付ける場合は注意が必要です。
チエバコCPUとマザーボードの型番を確認して対応していると思っても、BIOSまで確認しないと起動できない場合があるんだね。
ただし、BIOSはCPUを交換するたびに必ずアップデートするものではありません。
結論からいうと、CPU交換や自作PCでは、「使いたいCPUがマザーボードのCPUサポートリストに掲載されているか」「そのCPUがどのBIOSバージョンから対応しているか」を確認することが重要です。
この記事では、BIOSアップデートが必要になるケースと、CPU交換前に確認しておきたいポイントを順番に整理します。
BIOSアップデートは必要?必ず更新するものではない
BIOSアップデートは、自作PCを組むたび、CPUを交換するたびに必ず行う作業ではありません。
現在インストールされているBIOSが使用するCPUに対応しており、PCも正常に動作しているのであれば、CPU対応だけを理由に更新する必要はありません。
一方で、新しい世代のCPUへ交換したり、発売から時間が経ったマザーボードに新しいCPUを取り付けたりする場合には、BIOSアップデートが必要になることがあります。
| 状況 | BIOSアップデート |
|---|---|
| 現在のBIOSが交換するCPUに対応している | 基本的に不要 |
| 新しい世代のCPUへ交換する | 必要になる場合がある |
| 古いマザーボードに新しいCPUを取り付ける | 要確認 |
| CPUサポートリストで新しいBIOSが指定されている | 更新が必要 |
| メーカーが重要な不具合やセキュリティ対策を案内している | 更新内容を確認して判断 |
| PCが正常動作しており更新する理由がない | 無理に更新する必要はない |
BIOSには、CPUを正しく認識して動作させるための情報が含まれています。
そのため、マザーボード発売時には存在していなかったCPUでも、後からBIOSが更新されることで対応できる場合があります。
反対にいえば、マザーボードとしては対応可能なCPUでも、BIOSが古いままでは起動できない場合があるということです。
BIOSとUEFIは違う?現在もBIOSと呼ばれることが多い
現在販売されているマザーボードでは、厳密には従来のBIOSではなく「UEFI」が使われています。
UEFIは従来のBIOSを発展させた仕組みで、マウス操作に対応した画面や大容量ストレージへの対応など、多くの機能が追加されています。
ただし、マザーボードメーカーのサポートページや自作PCでは、現在でも「BIOSアップデート」「BIOSバージョン」という表現が一般的です。
この記事でも、分かりやすく「BIOS」と表記します。
CPU交換でBIOSアップデートが必要になる理由
CPUには、マザーボードへ取り付けるための「ソケット」があります。
AMDならAM5、Intelなら世代ごとに対応するLGAソケットがありますが、同じソケットを使用しているCPUすべてが、購入時のBIOSでそのまま使えるとは限りません。
同じCPUソケットを複数世代で使用する場合、マザーボード発売後に登場したCPUへの対応がBIOSアップデートで追加されることがあります。
このためCPUを選ぶときは、「ソケットが合っているか」だけで判断せず、マザーボードメーカーが公開しているCPUサポートリストまで確認する必要があります。
CPUサポートリストでは、CPUごとに「どのBIOSバージョンから対応するのか」が示されている場合があります。
つまり、CPUがサポートリストに載っていることと、現在入っているBIOSでそのCPUを使えることは別の確認項目です。
CPU交換・自作PCでBIOSを確認する4つのポイント
CPUを購入する前に、次の4点を確認しておくと起動トラブルを防ぎやすくなります。
- マザーボードの正確な型番
- CPUサポートリスト
- CPUの対応開始BIOSバージョン
- 現在使用しているBIOSバージョン
重要なのは、単に「AM5だから使える」「同じCPUソケットだから使える」と判断しないことです。
1.マザーボードの正確な型番を確認する
最初に、使用するマザーボードの型番を正確に確認します。
同じシリーズでも、Wi-Fi搭載モデルと非搭載モデル、「II」などが付いた改良モデル、基板Revisionが異なるモデルなどが存在する場合があります。
外見や製品名が似ていても、使用するBIOSファイルが異なることがあるため注意が必要です。
違う型番のBIOSを書き込まないためにも、メーカーのサポートページを開く前に正確な型番を確認しておきましょう。
2.CPUサポートリストを確認する
次に、マザーボードメーカーの公式サイトで「CPU Support」「CPUサポート」などのページを開きます。
そこで、取り付けたいCPUの正確な型番を探します。
たとえば「Ryzen 9だから大丈夫」と判断するのではなく、「Ryzen 9 9950X3D」のようにCPUの製品名まで確認します。
CPUサポートリストに掲載されていないCPUについては、ソケットが同じという理由だけで使用できるとは判断できません。
3.対応開始BIOSバージョンを確認する
CPUがサポートリストに掲載されていたら、そのCPUに必要なBIOSバージョンを確認します。
メーカーによって表記は異なりますが、「Validated since BIOS」「Since BIOS」「BIOS Version」などの項目で示されることがあります。
たとえばCPUサポートリストに「BIOS 2600以降」と記載されている場合、そのCPUを使用するには少なくとも指定されたBIOS以降が必要です。
現在のBIOSがそれより新しければ、CPU対応を目的としたアップデートは不要です。
反対に現在のBIOSが古ければ、新しいCPUへ交換する前にBIOSを更新しておくのが基本です。
4.現在のBIOSバージョンを確認する
CPUに必要なBIOSバージョンが分かったら、現在PCに入っているBIOSのバージョンを確認します。
Windowsが正常に起動しているPCなら、「システム情報」から簡単に確認できます。
Windowsから現在のBIOSバージョンを確認する方法
Windows 11やWindows 10では、「システム情報」からBIOSのバージョンを確認できます。
スタートメニューや検索欄を開きます。
検索欄に「msinfo32」と入力して「システム情報」を開きます。
「システムの要約」に表示される「BIOS バージョン/日付」を確認します。
ここで確認した現在のBIOSバージョンと、マザーボードメーカーのCPUサポートリストに掲載されている対応開始BIOSを比較します。
BIOS画面から確認する方法
Windowsをインストールしていない場合や、BIOS画面から直接確認したい場合は、PC起動時にBIOS設定画面へ入ります。
一般的には電源投入直後に「Delete」や「F2」キーを押しますが、使用するキーはマザーボードメーカーや機種によって異なります。
BIOSのメイン画面などに、現在使用しているBIOSバージョンが表示されます。
CPU交換前にBIOSアップデートが必要か確認する手順
CPU交換では、先に新しいCPUへ交換するのではなく、現在のCPUでPCが正常に動いているうちにBIOSを確認するのがおすすめです。
購入するCPUの製品名を正確に確認します。
目的のCPUが正式に対応しているか確認します。
そのCPUがどのBIOSバージョンから使用できるのか確認します。
Windowsの「システム情報」またはBIOS画面から現在のバージョンを確認します。
CPUサポートリストで指定されたバージョンより古い場合は、現在のCPUを取り付けた状態でBIOSを更新します。
BIOS更新後に現在のCPUで正常に起動することを確認してから、新しいCPUへ交換します。
この順番なら、新しいCPUへ交換してから「BIOSが古くて起動しない」と気付くリスクを減らせます。
BIOSが古いままCPUを交換するとどうなる?
対応していない古いBIOSのまま新しいCPUを取り付けると、正常にPOSTできず、BIOS画面まで進まないことがあります。
- 電源は入るが画面が映らない
- ファンだけ回転する
- BIOS画面まで進まない
- CPUエラーを示すLEDが点灯する
- 起動処理を繰り返す
ただし、これらの症状が出たからといって、必ずBIOSが原因とは限りません。
自作直後に画面が表示されない場合は、CPU補助電源、メモリの差し込み、グラフィックボード、モニターケーブルの接続先、電源ユニットの配線なども確認する必要があります。
「電源は入るのに画面が映らない=BIOS」と決めつけず、ひとつずつ原因を切り分けることが大切です。
新しいCPUしか持っていないとBIOSを更新できない場合がある
新規で自作PCを組む場合に注意したいのが、BIOSアップデートを行うためのCPUが手元にないケースです。
たとえば、マザーボードと新しいCPUを同時に購入して組み立てたものの、マザーボードに入っているBIOSが古く、新しいCPUを認識できなかったとします。
通常のBIOSアップデートは、対応しているCPUでPCを起動し、BIOS画面などから更新します。
ところが、現在のBIOSで新しいCPUを認識できず、対応する旧CPUも持っていなければ、BIOSを更新したくてもPCを起動できないという状況になります。



新しいCPUを買う前にBIOSを確認する理由はここだね。CPUが届いてからでは更新できないケースもあるんだ。
この問題への対策として確認しておきたいのが、CPUを起動させなくてもBIOSを更新できる機能です。
BIOS FlashBackとは?CPUなしで更新できる場合がある
一部のマザーボードには、CPUでPCを起動しなくてもBIOSを書き換えられる機能があります。
| メーカー | 主な名称 |
|---|---|
| ASUS | USB BIOS FlashBack |
| MSI | Flash BIOS Button |
| ASRock | BIOS Flashback |
対応マザーボードでは、メーカー指定の方法で準備したUSBメモリと電源を使い、OSや通常のBIOS画面を起動せずに更新できる場合があります。
ただし、すべてのマザーボードが対応しているわけではありません。
また、USBメモリのフォーマット方法、BIOSファイル名、使用するUSB端子、ボタンを押す時間などはメーカーや機種によって異なります。
実際に作業するときは、必ず使用しているマザーボードのマニュアルとメーカー公式手順を確認してください。
BIOSは古いバージョンから順番に更新する必要がある?
現在のBIOSがかなり古いと、「公開されているBIOSを古いものから1つずつ入れた方がいいのでは?」と思うかもしれません。
多くの場合、すべてのバージョンを1つずつ順番に更新する必要はありません。
ただし、マザーボードやBIOSによっては、特定のBIOSバージョンを先に適用するよう指定されている場合があります。
そのため、「一番新しいBIOSをダウンロードして、そのまま入れればいい」と決めつけるのではなく、メーカーのBIOSダウンロードページに記載されている注意事項を確認してください。
BIOSの説明欄には、次のような重要な条件が記載されている場合があります。
- 特定バージョンへの事前更新が必要
- 別のファームウェア更新が必要
- 更新後は以前のBIOSへ戻せない
- 特定CPUへの対応追加
- メモリ互換性の改善
- セキュリティに関する修正
BIOSアップデートでは、ファイルをダウンロードする前に説明欄を読むことも作業の一部と考えておきましょう。
BIOSアップデートするときの注意点
BIOSアップデートの操作自体は難しくありませんが、Windowsアプリの更新とは性質が異なります。
更新途中で電源が切れたり、誤ったBIOSを書き込んだりすると、PCが正常に起動できなくなる可能性があります。
- マザーボードの正確な型番を確認する
- メーカー公式サイトからBIOSを入手する
- BIOSファイルの注意事項を読む
- 更新中にPCの電源を切らない
- 更新中にUSBメモリを抜かない
- 更新後にBIOS設定が初期化されていないか確認する
- BitLockerやデバイス暗号化の状態を確認する
BIOS更新後は設定が初期化される場合がある
BIOSを更新すると、設定内容が初期値へ戻る場合があります。
メモリのEXPOやXMP、ファン制御、起動ドライブ、仮想化機能などを変更している場合は、更新後に設定を確認しておきましょう。
細かく設定を変更しているPCでは、アップデート前に現在の設定内容をスマートフォンで撮影しておくと、復元するときに分かりやすくなります。
BitLockerを使っている場合は回復キーを確認する
Windows 11では、BitLockerやデバイス暗号化が有効になっているPCがあります。
BIOSやUEFIなどのファームウェアを変更したあと、環境によっては次回起動時にBitLockerの回復キーを求められる場合があります。
そのためBIOSを更新する前に、BitLockerが有効になっていないかを確認し、使用している場合は回復キーを確認できる状態にしておくと安心です。
BIOSはとりあえず最新版にすればいい?
CPUを交換するなら、とりあえず最新BIOSにしておけば安心と思うかもしれません。
しかし、BIOSは「新しいバージョンが公開されたら必ず更新する」と考えるより、更新する目的と変更内容を確認して判断する方がよいでしょう。
BIOSアップデートには、CPUサポート追加だけでなく、メモリ互換性の改善、不具合修正、セキュリティ対策などが含まれる場合があります。
一方、現在のPCが正常に動作しており、使用するCPUにも対応している場合は、CPU対応だけを目的に更新する必要はありません。
自分のPCに必要な変更なのかを確認してから更新することが基本です。
中古マザーボードや長期在庫品はBIOSバージョンに注意
中古パーツや旧モデルの新品マザーボードを使って自作PCを組む場合は、BIOSバージョンにも注意が必要です。
同じ型番のマザーボードでも、製造された時期や前の所有者がBIOSを更新したかどうかによって、搭載されているBIOSバージョンが異なる可能性があります。
- 発売直後に製造された個体
- 新しいBIOSが公開された後に製造された個体
- 長期間保管されていた未使用品
- 前の所有者がBIOSを更新した中古品
このため、「このマザーボードはRyzen 9000シリーズ対応だから大丈夫」と製品仕様だけで判断するのではなく、実際に入っているBIOSが目的のCPUに対応しているかを確認する必要があります。
フリマサイトや中古ショップで購入する場合、確認できるのであればBIOSバージョンを販売者へ問い合わせておくのも一つの方法です。
自作PCではCPUとマザーボードの互換性とBIOSをセットで確認する
CPUとマザーボードを選ぶときは、ソケットやチップセットだけを確認して終わりではありません。
購入前には、次の順番で確認すると分かりやすくなります。
- CPUとマザーボードのソケットが合っているか
- チップセットがCPUに対応しているか
- CPUサポートリストに目的のCPUが掲載されているか
- そのCPUの対応開始BIOSは何か
- 現在のBIOSは何か
- 必要ならCPU交換前にBIOSを更新できるか
- BIOS FlashBackなどCPUなしで更新できる機能があるか
ここまで確認すれば、パーツを購入した後に「CPUは取り付けられるのに起動しない」という失敗をかなり減らせます。
まとめ|BIOSアップデートはCPU交換前に必要か確認しよう
BIOSアップデートは、CPU交換や自作PCで必ず行う作業ではありません。
重要なのは、使用するCPUに現在のBIOSが対応しているかを確認することです。
CPU交換前には、マザーボードの正確な型番、CPUサポートリスト、CPUの対応開始BIOS、現在のBIOSバージョンを確認しましょう。
現在のBIOSがCPUに対応していれば、CPU対応を目的としたアップデートは必要ありません。
反対にBIOSが古い場合は、できるだけ現在のCPUで正常に起動できるうちにアップデートを済ませてから、新しいCPUへ交換する方が安全です。
新規で自作PCを組む場合は、CPUサポートだけでなく、BIOS FlashBackなどCPUなしで更新できる機能があるかも確認しておくと、BIOSが古かった場合に対応しやすくなります。
CPUとマザーボードの互換性は、「ソケットが合うか」だけでは決まりません。
CPUサポートリストと対応開始BIOSまで確認してから購入する。
ここまでを自作PCのパーツ選びの手順として覚えておけば、CPU交換時の起動トラブルを防ぎやすくなります。


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