Excelファイルを共有するとき、「中身を見られる人を制限したい」「閲覧はできても編集はさせたくない」「間違って上書き保存されるのを防ぎたい」と感じることがあります。
そのようなときに使えるのが、Excelの全般オプションです。
全般オプションでは、ファイルを開くときに必要な読み取りパスワードと、編集・上書き保存を制限する書き込みパスワードを設定できます。
ただし、この2つは役割が違います。読み取りパスワードは「ファイルを開く制限」、書き込みパスワードは「編集・保存の制限」です。
この記事では、Excelの全般オプションで読み取りパスワード・書き込みパスワードを設定する方法、解除する方法、暗号化との違い、使い分けの注意点を整理します。
なお、この記事ではWindows版Excelのデスクトップアプリを前提に手順を紹介します。Excel for the webやMac版では、画面構成や一部の操作名が異なる場合があります。
全般オプションで設定できる2種類のパスワード
Excelの全般オプションでは、主に次の2種類のパスワードを設定できます。
| 種類 | 役割 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 読み取りパスワード | パスワードを知らない人はファイルを開けない | ファイルの中身を見られたくない場合 |
| 書き込みパスワード | パスワードを知らない人は読み取り専用で開く | 閲覧は許可し、編集や上書き保存を防ぎたい場合 |
重要なのは、書き込みパスワードだけではファイルの中身を隠せないという点です。
書き込みパスワードは、あくまで編集や上書き保存を制限するためのものです。ファイルの内容を見られたくない場合は、読み取りパスワードを設定する必要があります。
読み取りパスワードと書き込みパスワードの違い
読み取りパスワードと書き込みパスワードは名前が似ていますが、目的はまったく違います。
読み取りパスワードはファイルを開くための制限
読み取りパスワードを設定すると、Excelファイルを開くときにパスワード入力が求められます。
パスワードを知らない人はファイルを開けないため、ファイルの内容そのものを見られたくない場合に使います。
たとえば、個人情報、社内資料、金額表、見積書、顧客リストなど、閲覧できる人を限定したいファイルに向いています。
書き込みパスワードは編集・上書き保存を制限する機能
書き込みパスワードを設定すると、ファイルを開くときに編集用のパスワード入力が求められます。
パスワードを知らない場合でも、ファイルを読み取り専用で開ける場合があります。
つまり、書き込みパスワードは「中身を見せないための機能」ではなく、「勝手に編集・上書き保存されるのを防ぐための機能」と考えると分かりやすいです。
社内で資料を配布するとき、閲覧はしてほしいけれど元ファイルを変更されたくない場合に向いています。
全般オプションでパスワードを設定する方法
ここからは、Excelの全般オプションで読み取りパスワード・書き込みパスワードを設定する手順を紹介します。
読み取りパスワードと書き込みパスワードは、どちらか一方だけでも設定できます。必要に応じて両方を設定することも可能です。
パスワードを設定したいExcelファイルを開きます。
画面左上の「ファイル」をクリックします。

左側のメニューから「名前を付けて保存」を選びます。
保存先を選んだあと、表示される画面で「その他のオプション」をクリックします。

「名前を付けて保存」の画面が開いたら、右下にある「ツール」をクリックします。

表示されたメニューから「全般オプション」をクリックします。

全般オプションの画面が表示されると、次の入力欄があります。
- 読み取りパスワード
- 書き込みパスワード

ファイルを開く人を制限したい場合は、読み取りパスワードを入力します。
ファイルの編集や上書き保存を制限したい場合は、書き込みパスワードを入力します。
必要であれば、両方に別々のパスワードを設定できます。
パスワードを入力したら「OK」をクリックします。
確認入力の画面が表示されるので、同じパスワードをもう一度入力します。
最後にファイルを保存すれば、パスワード設定は完了です。
読み取りパスワードだけを設定する場合
ファイルの中身を見られたくない場合は、読み取りパスワードだけを設定します。
この場合、パスワードを知らない人はファイルを開けません。
外部に送る資料、個人情報を含む表、見積書、管理台帳などは、閲覧できる人を限定する目的で読み取りパスワードを使います。
書き込みパスワードだけを設定する場合
ファイルの閲覧は許可し、編集や上書き保存だけを制限したい場合は、書き込みパスワードだけを設定します。
書き込みパスワードを知らない人は、読み取り専用でファイルを開く形になります。
ただし、読み取り専用で開いたあと、別名で保存できる場合があります。そのため、書き込みパスワードは「改変を完全に防ぐ機能」ではなく、「元ファイルを不用意に上書きされにくくする機能」と考えるのが安全です。
読み取りパスワードと書き込みパスワードを両方設定する場合
読み取りパスワードと書き込みパスワードを両方設定すると、ファイルを開く段階と、編集する段階の両方で制限できます。
たとえば、次のような使い方ができます。
- 閲覧できる人を限定したい
- 一部の人だけ編集できるようにしたい
- 資料の内容を保護しながら、確認用として共有したい
ただし、パスワードが2種類になるため、管理は少し複雑になります。
読み取り用と書き込み用のパスワードを混同しないように、安全な場所に記録しておきましょう。
全般オプションのパスワードを解除する方法
全般オプションで設定したパスワードは、同じ画面から解除できます。
解除するときは、現在のパスワードを知っている状態でファイルを開く必要があります。
- パスワード付きのExcelファイルを開く
- 「ファイル」から「名前を付けて保存」を選ぶ
- 「その他のオプション」をクリックする
- 「ツール」から「全般オプション」を開く
- 読み取りパスワード・書き込みパスワードの入力欄を空欄にする
- OKをクリックして保存する
パスワード欄を空にした状態で保存すると、設定されていたパスワードは解除されます。
読み取りパスワードだけを解除したい場合は、読み取りパスワード欄だけを空欄にします。書き込みパスワードだけを解除したい場合は、書き込みパスワード欄だけを空欄にします。
パスワードを変更する方法
パスワードを変更したい場合も、全般オプションから行います。
現在のパスワードでファイルを開いたあと、全般オプションを開き、古いパスワードを削除して新しいパスワードを入力します。
その後、OKをクリックして確認入力を行い、ファイルを保存すれば変更完了です。
全般オプションと「パスワードを使用して暗号化」の違い
Excelには、全般オプション以外にも「パスワードを使用して暗号化」という保護方法があります。
「パスワードを使用して暗号化」は、Excelの「ファイル」→「情報」→「ブックの保護」から設定する方法です。
一方、全般オプションは「名前を付けて保存」画面から、読み取りパスワードや書き込みパスワードを設定する方法です。
| 設定方法 | 主な目的 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 全般オプションの読み取りパスワード | ファイルを開ける人を制限する | 閲覧者を限定したい場合 |
| 全般オプションの書き込みパスワード | 編集・上書き保存を制限する | 元ファイルを変更されたくない場合 |
| パスワードを使用して暗号化 | ファイルを開く段階で保護する | 重要なファイルを保護したい場合 |
大切なのは、目的に合わせて使い分けることです。
「見られたくない」のか、「編集されたくない」のかで、選ぶべき設定は変わります。
全般オプションを使うときの注意点
全般オプションのパスワード設定は便利ですが、使う前に確認しておきたい注意点があります。
パスワードを忘れると開けなくなる場合がある
読み取りパスワードを忘れると、ファイルを開けなくなる場合があります。
Microsoft側でも、忘れたパスワードを復元することはできません。
パスワードを設定するときは、紙のメモではなく、パスワード管理アプリや社内ルールに沿った安全な方法で管理しましょう。
書き込みパスワードだけでは中身を隠せない
書き込みパスワードは、編集や上書き保存を制限するための設定です。
パスワードを知らない人でも、読み取り専用でファイルを開ける場合があります。
ファイルの中身そのものを見られたくない場合は、書き込みパスワードだけで済ませないようにしましょう。
読み取り専用は完全なコピー防止ではない
読み取り専用で開いたファイルでも、環境によっては別名保存できる場合があります。
そのため、書き込みパスワードは「元ファイルを上書きされにくくする設定」と考える方が安全です。
重要な情報を扱う場合は、閲覧範囲や共有方法そのものも見直しましょう。
パスワードの共有方法にも注意する
パスワード付きのExcelファイルをメールで送る場合、同じメール本文にパスワードを書くのは避けた方が安全です。
ファイルとパスワードを同じ経路で送ると、メールが第三者に見られた場合に、ファイルもパスワードも同時に渡ってしまうためです。
可能であれば、ファイルとパスワードは別の連絡手段で共有しましょう。
読み取り専用をすすめる設定との違い
全般オプションには、パスワード設定とは別に「読み取り専用を推奨する」という項目が表示される場合があります。
これは、ファイルを開く人に読み取り専用で開くことをすすめる設定です。
ただし、読み取り専用を推奨する設定だけでは、編集を強く制限するものではありません。
編集を制限したい場合は、書き込みパスワードを設定する方が目的に合っています。
どのパスワードを使えばよいか
どの設定を使うべきか迷った場合は、次のように考えると選びやすくなります。
| 目的 | 使う設定 |
|---|---|
| ファイルの中身を見られたくない | 読み取りパスワード |
| 閲覧は許可し、編集だけ制限したい | 書き込みパスワード |
| 閲覧者と編集者を分けたい | 読み取りパスワード+書き込みパスワード |
| 重要ファイルを開く段階で保護したい | パスワードを使用して暗号化 |
| シート内の一部セルだけ編集させたくない | シートの保護 |
全般オプションは、ファイル単位で「開く」「編集する」を分けたいときに便利です。
一方で、シート内の数式や特定のセルだけを守りたい場合は、全般オプションではなく、シートの保護を使う方が目的に合います。
よくある質問
読み取りパスワードと書き込みパスワードは同じでもよいですか?
設定自体はできますが、役割を分けたい場合は別のパスワードにする方が管理しやすいです。
閲覧できる人と編集できる人を分けたい場合は、読み取り用と書き込み用で別々のパスワードを設定しましょう。
書き込みパスワードを知らない人は編集できませんか?
元ファイルをそのまま上書き保存することは制限されます。
ただし、読み取り専用で開いたあとに別名保存できる場合があります。完全なコピー防止や情報漏えい対策として考えるのは避けましょう。
パスワードを忘れた場合は解除できますか?
読み取りパスワードを忘れると、ファイルを開けなくなる場合があります。
パスワード設定前に、必ず安全な管理方法を決めておきましょう。
全般オプションとシートの保護はどちらを使えばよいですか?
ファイルを開く人や編集できる人を制限したい場合は、全般オプションを使います。
シート内の数式や一部のセルを変更されたくない場合は、シートの保護を使います。
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まとめ
Excelの全般オプションでは、読み取りパスワードと書き込みパスワードを設定できます。
読み取りパスワードは、ファイルを開く人を制限したいときに使います。書き込みパスワードは、閲覧は許可しつつ、編集や上書き保存を制限したいときに使います。
ただし、書き込みパスワードだけではファイルの中身を隠すことはできません。
重要な情報を含むExcelファイルでは、「見られたくない」のか「編集されたくない」のかを分けて考えることが大切です。
パスワードを忘れるとファイルを開けなくなる場合があるため、設定後は必ず安全な方法で管理しておきましょう。


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